Hi there,
みなさま、ご訪問ありがとうございます。
オンラインで楽しく英会話上達、略してオンタノの管理人うろこ (Twitter:
@misakouroco) です。
■字幕どおりに聞こえてこない さて。
今日のご質問ピックアップは、「どうがんばっても聞こえない音があります。どうして?」です。
お悩みは、実に切実。
「英語ネイティブスピーカーの人が普通のスピードで話していると、
スクリプトを見ても、どうしても、そのフレーズに聞こえないんです」K さん
「ホストファミリーの人がしゃべっていることがわからない。
なんと言っているのか紙に書いてもらったけれど、どうがんばってもそうは聞こえない」L さん
「私の耳がダメなのかな、といういきおいです」A さん
質問をお寄せくださったみなさま、ありがとうございました!
皆さん、鋭くていらっしゃる!ドスドス!(机を叩く
英語って、書いた言葉と口から出てくる音が違う場合がよくあるのです!
日本語を母国語とする人にとっては、
これは共通して「非常に悩ましい現象」です。ハイ、経験者。
慣れるまでジレッタイたらありゃしないですよね。
あまりのジレったさに、キーッとなって、諦めたくなる。

リスがキーッとなてリスキー(呆
もとい。
でも、まずはですね、これも「慣れ」なので、まずはご安心を(^^)
人生は努力でも度胸でもなく、単なる「慣れ」がすべて、
…という場合もたまにはあるんです。ああヤヤコシ。
などと書きつつ、この慣れていく段階も悩ましいのが、
悲しい現実ではあります。
そこで、道中できるだけ楽しくすごせるアイディアや、楽になるポイント、
心強く存在してくれるヒントをご紹介していきます。
ですから、まずは、
このじれったさは「永遠に続くものではないのだ」と、納得なさってくださいね。
たとえ今は永遠に続くように見えておられても、
数ヶ月苦しんでいて「もうイヤン」と思っておられたとしても、
曲がり角を越える度に、必ず違う景色が見えてきます(^^)
■音の変化・事実の確認を ガックシの事実をまず、ご報告せねばなりません。
→
英語は書かれたとおりに発音する言語ではありません(TT)
……納得いきません。納得いきませんが、それが英語の特徴です。
それに加えて、私達の脳内データベースにも、大きな原因があります。
■1)脳内の音声データと英語の音が一致していない綴りを見て私たちの頭の中で浮かぶ音というのは、英語の音ではありません。
悲しいかな、どうしてもローマ字読みだとか、カタカナ読みの音が影響している音です。
これは本来の英語の音ではありませんので、
英語圏の人が話している時に聞こえてくる音と、
字幕を見て、自分で変換している頭の中のデータベースの音と一致しません。
私たちが馴染んでいるローマ字というのは、一番最初は英語の発音に準拠していたものから、日本語表記に順ずるものに変更されたり、折衷されたりした歴史があるので、これをそのまま当てはめても「英語」の音には戻りくいのですこればっかりは、英語の音に慣れていくしかありません。
→ オンラインの英英辞書などで、どんどん本来の英語の音を聞いていきましょう。
オンラインで使える英英辞書■2)Weak and Strong Forms英語は、新しい要件を告げる単語以外は(日本語ネイティブからすれば)非常〜にゾンザイに扱われます。
会話の中で重要でない情報は、
単語ごとに知られている音とは違う、早口で一気に言いやすいような音(weak form)で発音されます。
で、何が重要じゃないかというのは話の流れで変わるものですが、
デフォルトで弱く発音されがちなのが、Function word(機能語)です。
日本語でやってみると、「あのアレとそっちのコレがドウナッタ」のひらがな部分が、機能語です。
ターザンがカタカナの部分だけ並べても、会話が通じちゃうという
せつない機能語(ああっズレていくので例を見ていきます)。
例)
前置詞: under, around, near, on, など
接続詞: and, but, not など
限定詞: the, some, each など
所有格: my, our, your, his, her など (his, her は h が飛んでしまう事多し)
助動詞(メインの動詞でない時):can, do, have, may, など
無生物主語: there is, there are, there have been, など
例)
たとえば there という単語は、
There's a hole in my shirt! なんて表現のときは、weak form が使われます。
辞書を見ると(
http://dictionary.reference.com/browse/there)
there の発音の仕方は二つありますよ、とあります。
(読み方の表記→[thair(←単語としての音); unstressed ther(←文章に入り込んで流される時の音)])
unstressed の時の there の発音は weak form です。
すばやく言いやすいような弱い音、ですんで、
話し手は there's を電光石火で一気に処理しちゃいます。
文章の中に入ることで、単語として覚えた音と変わってしまう。これ、大人の脳にとっては意外な「納得いかん」ポイントです。
ここでジレて先に進めなくなる場合も多いので、「そういうこともあるのね」と
納得されておくと良いでしょう。
なんつったって、学校では「ゼアイズ・ア」とか
「ゼアリズ・ア」と読め、と教わっただけ(ああ、英語の音とトコトン違うっ)。
私も、納得するまで聞こえないよぅ〜と悶絶した部分です。
何度も何度も何度も何度も聞いても、
ぜぇええぇええぇっ対、そんな風に言ってないもんっ!と、カセットテープを投げたりして(^^;
(そういう時代でした。カセットテープ……キュッキュルルッ)
大人の脳は、納得した方が練習に集中しやすいんですよね。
さて。何度も申し上げることですが、日本語と英語は言語ファミリー的に遠い存在です。
書いたとおりに読める日本語とは違う、ということを、
おお、異国語を学ぶ醍醐味!という楽しみになさってみてくださいね^^
weak form をとることが多いその他の単語の一部、リストはこのあたりで→(英語)
http://learnenglish.vn/how-to-learn-english/strong-form-weak-form-english-conversation/■3)音がすっ飛ばされるでは、今度は音がすっ飛んでしまうのを日常生活の中から拾ってみましょう。
ハロウィ〜ンのお菓子でもらったオレオクッキーの袋です。
(近所の子どもの連れ添いで行ったら、あなたもどうぞって手渡されてしまった…恥)

説明文にある、Grab'em! Share'em! って見えるでしょうか。
それ、なんなんだ!って感じですが、
Grab them! Share them! の
th の音が遠慮なく落ちちゃっている例です。
つまり、くだけた口語では発音しませんで、くっつけて言っちゃう。
教わってないですよ、そんなゴムタイな。
こういう、くだけた感じの口語は、普段は文字になることは滅多にありません。
言葉使いにうるさい人は、こんな風に端折った発音を嘆く人もいますので
テキストブックにはまンず、出てこないでしょう(著者はだれだ、出てこい、とか親が怒りそう)。
茶目っ気を狙った商品や看板でもない限り、なかなかお目にかかれないことでもあります。
それに加えて、
「これから英語を学ぶ人に、くだけた感じの口語を教えてどうする!」という意見は、
英語を教える先生方には根強いものがあります。
なにせ、言語はハテのない道のり…覚えることは五万とあります。
リラックスした発音を習うよりも、まずは「正しい」発音を覚えて、
自然に慣れて早口になったときに音の変化が起きるべきだ、という意見ですね。
この言い分は、ごもっとも。
ごもっともなんですが、知らない言葉は聞き取るのがすっごく大変。
聞き取れない〜ッ!ムキーッ!もーだめーっ!となりやすい、
第二言語の大人の苦しみを彼らは今ひとつ、実感しきっていない…か、思い切りスパルタ(涙
私からすればですね、
第二言語として英語を学ぶ大人は、「使い分けは心得ている」もの。
そして大人は、「自分が知らない表現」が耳に入っても雑音として処理できちゃいますんで
(そうでないと、忙しい日々をこなせぬ、という現実もあり)
たとえどんな言い方であろうとも、
「知っておくこと」自体は大事だと思います。
こちらに英語記事での例がいっぱいあるのでご参考に
☞
http://www.englishclub.com/vocabulary/contractions-informal.htm■4)ドラマや映画では、アドリブに字幕が対応していないこともあと、映画やドラマの字幕やスクリプトは、
実際のセリフとは微妙に違うことも、まま、あります。
「読みやすい言葉」と、「言いやすい言葉」は違うということもありますし、
字幕ではなくスクリプトを見ている場合などは、
役者がスクリプトどおりにしゃべっておらず、
映像としてはそちらが面白いので採用されている、ということもあります。
■すでに長い記事ですが、余力のある皆様へ…
これからさらにズラズラと並べていきますが、
この特徴を覚えなければイカンということではありません。
「このように聞こえる現象をナンと言うか」
「この音の変化はどの法則に当てはまるか」
というような試験スタイルに慣れている私たちはどうしても「お、お、おぼえねばっ」となりがちですが、
それは試験は採点が命だから……です。
一方、言葉を使う目的はただ一つ。相手とコミュニケーションを取りあうこと…ですから、
こういう理屈は抜きで、断然OKなわけです。
というわけで、ここがすんなり納得できる方は、次回の記事でお会いしましょう(^^)/
とはいえ、大人の脳はアヤフヤを嫌がるのもまた事実…
「なるほどね」とカタをつけるきっかけになりそうだ、
と思われる方は、続けておつきあいください(^^)
長いンです…すみません(TT)
■音の変化例 今度は、音の変化例を見ていきます。
読み書き英語では必要がないことですし、
「慣れ」が威力を発揮するまでかなりの時間を要しますので、
学校ではほとんど触れていないことが多いのです。
では、幽霊の 正体見たり 枯れ尾花方式で、チラリと
英語のクセとやらを見てみましょう。
■音の脱落1単語の最後の子音と、次の単語の最初の子音が同じ・または似ている場合に、最後の子音が飲み込まれるような感じで脱落します。(一拍置くような感覚)
たとえば red dress は日本語で表すと「レッドドレス」と「ド」が二つ続きますが
英語では、re[d] [d]ress と [d] が二つ並ぶと、最初の音が脱落します。
この結果、re’dress と一つの単語のように一気に言ってしまうので、
耳に聞こえてくるのは、reッdress という感じになります。
(カタカナで記述するのは正確ではありませんが、便宜上「ッ」を使っています。 実際には、音を出さない一拍を置く感じです。)
その他のパターンはこちらをどうぞ
http://epel.olympicesl.com/archives/291■音の脱落2 しゃべり手のクセここで紹介する音の変化は、気楽につきあえる仲間と、
リラックスしまくっておしゃべりしている場合とか、
ティーンネージャとか、とにかく「ザ・気楽」な場面で「お気楽な人」が使っている、ということも多いです。
*ここでは自分が使うかどうかは別にして、聞こえてくる音を紹介しています。
1)単語の先頭の h が落ちる気楽な感じの人は、h の音を落として発音しちゃうことも多いのです。
おまけに、h の音が落ちてしまうがゆえに、
単語同士が(私たちからは)予想し難いくっつき方をして、音が変わったりします。ああ。
has, have, his, he, など、ヒジョーにしょっちゅう使う単語でこれをやられるとたまりませんが
気楽な仲良しどうしの会話なんかだと、ハラホレと h の音が脱落しています。
2)単語の終りの d, g が落ちるand は an'
wedding だって weddin' と、最後の子音をすっとばす人は多いのです。
■音の同化・変化1)同化 assimilation とも呼ばれますが、
まあ、これは矢沢英吉さんの「ウォンチュゥ、ウ、ウ、ウォンチュゥ〜〜オレのぉぉおおおぉ肩をぉおおぉ♪」を歌える方は大丈夫でしょう。
ってそりゃなんだというと、
I wan <t you>. と、
カッコでくくった部分をまとめるがゆえに(単語ごとには区切らず)、
t や c sh と次の音が混ざって、チュとかシュとかジュというような音に変わることです。
I miss you → I missyou
I need you → I needyou
なんて愛のささやきは、同化しまくりですね。ウフフ。どうぞそうやって仲良くしていてください。(?)
2) 2つの音のうち、一つ落ちてしまう(Elision)音がくっついてビミョーにつながる一つの音に
同音が続くときは、二つの音として発音せずに
一つにビミョーにくっつけて発音されます。
I drive very slow.
dri<ve ve>ry がくっついて、
drive の v の音は very の v につながって聞こえます。
I dri・very slow. なんて感じですね。
Red dress は、Re'dress みたいな。
Could you get a knife for me?
kni<fe f>or は、ほぼつながって一拍つきの1塊で聞こえます。
Could you get a kni・for me? なんて感じです。
上の ・ のところは、F の口のカタチで for を言うのを待っている、みたいな。
追加記事書きました→
http://epel.olympicesl.com/archives/2913) 単語がくっついて、元の単語とは音が変わってしまう表現going to → gonna
got to → gotta
have to → hafta
has to → hasta
had to → hatta
want to → wanna
sort of → sorta
kind of → kinda
文章では基本的には使わない表現ですから、口語表現とも言います。
こーれーが、知らないと一番辛い部分でしょうか。
私の場合はそうでした。
ワッチゴナドゥが、What are you going to do の口語だなんて、
What are you → Whatcha
going to do → gonna do?
こんなにハデに音が変わるだなんて、
だーれも、だーれも、だーれも教えてくれませんでしたもん!
なんつったって、
what are you が ワッチャですよ。音、飛びすぎ。飛べ、飛べ飛べワッチャマン(TT)
というわけで、
知らない音は分類できませんので、
続きもいろいろ記事を書いていきたいと思います。
4)Tの音は曲者です。特にアメリカ英語は、T の扱いがゾンザイですので
パタパタする T(Flap T) が、リスニングの邪魔をするんです。
参考(別館):
http://epel.olympicesl.com/archives/592フラップT と、音を飲み込むような、つんのめる T (Glottal stop)
http://easykaiwa.seesaa.net/article/158190533.html自分で言えるようになるというより、あ、そういう音の変化なのね、と
リスニングの杖にしてくださいね。
■しゃべり方の強弱とにかく英語というのは、ダラダ〜ラと一気にいきますので、
音の高低や強弱に、私たちの集中力が振り落とされることもよくあります。
・Content word と function word
内容を表すことば、Content word は、単独で用いられても意味を持つことばです。
これに対して、Function word というのがありますが、こちらは文法的関係を示すことばです。do とか、will とか、そういうやつですね。
会話のときは、Content word を目立つようにしゃべり、
Function word は、ヒジョーに軽くゾンザイに扱われます。
ゾンザイに扱われるということは、音が脱落したりくっついたり、上記で説明した音の変化が起きやすいのです。
スクリプトや字幕は一文字残さず書かれていますが、
音ではすっ飛んだりまとまったり、変化しまくる部分です。
■楽しく慣れていきましょう さて。いろいろありますが、こんな風にはげしーく、
書かれた文字から想像する音と、おしゃべりことばの音は違うのです。
まあ、日本語だって昔は「てふてふ」と書いて「チョウチョウ」と読んでいた言語ですから、そんなこともあるのんね、くらいに
軽く納得されておくと良いと思います。
こういった違いをなんとなーく頭の片隅にのこしておいて、
実際の発音と照らし合わせることを意識的に、継続的に行う、という方法も効果的です。
この場合、全部を解明するのが目的ではありません。
というのも、これを続けていくと、ある日、
「聞こえてくる音そのまま」を捉えている自分に気がつく場面がやってきます。
相手の言ったことが、一語一句わかるというのではなく、
うすぼんやりとした「〜〜?〜??〜〜?」という感じの音の塊が、
少しずつ、輪郭を持った感じで聞こえてくる状態です。
そこで、準備運動として音の性質を知っておくこと、
助走として、短い生の音を繰り返し聞いて、リズムや実際の音に慣れること、
その際、自分なりの読み仮名をふってみるのも良いかもしれません。
(誰かが聞いて、妥協した結果ふりあてたカタカナ読みをそのまま覚えるのは非常に危険ですが、
自分が本来の音をきいて、「うーん、これにちかいかも」とフリガナを振るのは有効です。)これを続けていくと、耳が慣れてきます。
結局また慣れかいな、という感じですが、これが避けては通れぬ王道なのです。
この慣れていくまでの時間をいかに楽しく、
プレッシャーに負けずすごしていくか、というところが、
大人は工夫できる幅が大きいので、醍醐味ともいえますね(^^)
学術的に攻めてみたり、
そんなこと関係ないもんね、と離れてみたり、
選択肢の多さは言語の付き合いにおけるシアワセのバロメータでもあります。
慣れていく時間、これは楽しいと短く感じるものでもありますし、
緊張すると、今まで平気だったものが聞こえ難い。なんてこともよくありますので、ぜひ、
楽しんでみることをお忘れなく…。
まったく、記事が長すぎますってね…本当にもー。すみません。
みなさま、辛抱強くおつきあいくださってありがとうございます!
今回も最後までお付き合いくださってほんっとうにありがとうございました♪
(2015年1月編集・追記)